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喫煙と病気

このテーマは書き始めると際限がないような気がします。
ココではタバコの煙の発癌物質と発癌についてと最近騒がれている肺の病気であるCOPDについて説明します。

タバコにはたくさんの発癌性の物質が含まれていることは「タバコの科学」のところで説明しました。 だから、喫煙者は肺癌や喉頭癌だけにかかりやすくなるのではなく、膀胱癌や子宮癌までもが増加するのです。

喫煙と病気
※ この図はニコチネルTTSを発売しているNOVARTIS社のパンフレットからお借りしました。

これを見るとほとんどの癌の死亡率が大きく上昇しています。これは事実なのです。
ただ、大腸癌と女性の乳ガンだけについてははっきりとした因果関係が見つかっていないようです。しかし、今後見つかってゆく可能性はあります。
身体に取り込まれているものでこれだけはっきりとした発癌性が示されているものは他にはないでしょう。

他に胃潰瘍が1.9倍になっています。ストレスを取るとか言われているタバコはやはりストレスの原因にもなっているのでしょうか?それともタバコに含まれる化学物質が胃を荒らすのでしょうか?
私は前者のように思います。
私もスモーカーであったころがあり、そのころは常に自宅と職場には4~5箱のタバコはストックしていました。つまりタバコがなくなるのが怖いのです。なくなれば夜中でも、クルマを出して買いに出かけました。つまり、スモーカーには常にタバコがなくなることの恐怖感を味わっているのです。
たまたま、外出中にタバコが切れそうになると、まずタバコの確保が最優先課題になります。自動販売機を見つけるとほっとするのです。見つからなかったらすごいストレスです。それに長い会議や講演が終わるとその後の一服は格別と言います。確かにそうでした。
しかしタバコを吸わなくなってわかったのですが、いくら会議や講演が長引こうがタバコが頭に浮かびませんから、はじめから苦痛がないのです。長い会議の後の一服が最高にうまいのはそれまで苦痛を感じているから、その苦痛がなくなることの喜びなのです。その一服で苦痛がなくなるだけで、ノンスモーカーにははじめから苦痛がないと言うことです。

ココで喫煙者をすこし弁護しますと、喫煙者というのはだいたいにおいて、いわゆる「いい人」なのです。心優しき人が多いのです。これは私も長年の人々との付き合いでわかります。だから、嫌煙権といわれても理解を示す人が多いのです。たいていの人が若いころ、タバコの味もわからないときに大人が口から煙を吐く姿に、自分もあれがしてみたいとうような単純な理由だったと思われます。そのころタバコには発癌性があり、タバコを吸うと癌で亡くなる確率がズーッと上がるよ、と教えられたら吸ってなかったでしょうね。私の母親も「身体に悪いいよ」と言う程度のことしか言ってなかったです。

話がそれましたので今度は肺気腫や慢性気管支炎を一括した病名である、COPDと喫煙について述べてみます。

COPDについての専門的な内容についてはこのホームページの「ベルランド呼吸器カンファレンス」の「COPDの治療」をご覧下さい。
そこに書かれている内容をかみ砕いて易しく説明してみます。まずCOPDの典型的な特徴を取り上げてみます。まずスモーカーです。スモーカーの全員がCOPDになるわけではなく、15%ぐらいの人がなると言われています。どんな人がなるのかは、なってみなければわかりません。将来はDNAでわかるようになると思います。その15%の中に入った人は、まず階段や坂道を上がる時に息ぎれを感じるようになります。それ以外の症状はないことが多いのです。
咳や痰といった症状はないことも多いのです。この段階で病院を受診される方はごく一部の方ですね。ご本人は息ぎれは一時的なことだと思って、その原因が長年吸ってきたタバコとはつゆも思わずに・・・

こうして、COPDはゆっくり喫煙者の肺を壊してゆきます。この頃胸部のレントゲンでも異常が見つかることが多いですが、よりはっきりわかるのは、肺機能検査です。その中でもフロー・ボリウム曲線というのを見ると、どの程度悪くなっているか判定出来ます。これはどんな検査かというと、鼻をクリップでふさぎ空気が漏れないようにして、筒の中に思い切り吸い込んだ空気を一気に、しかも出来るだけ速くはき出すのです。COPDになると、この一気にはき出すことが出来なくなるのです。検査では1秒間でそれだけはけるかを測定するのです。これを1秒量といいます。

階段を上がると息ぎれを感じ始めてから数年がたちますと、今度は平地でも他の人と同じペースでは歩けなくなっているのに気づきます。つまり自分のペースでないと歩けなくなります。奥さんが「あんた、なにもたもたしてんの!」とうことになるのです。このあたりで受診し、まず禁煙を勧められます。禁煙については何も言われず、薬だけ出すような病院は良心的な医療をしているとは言えませんね。もちろんこの段階でももう一つ前の段階でも禁煙すればCOPDの進行はゆっくりになります。だから、COPDの患者さんを見つけたら、是非とも禁煙に持って行かねばなりません。

平地で休みながらでないと歩けなくなったら、かなり進んでいます。タバコを止めるのはもちろん、もしかすると慢性的な酸素不足になっているかも知れません。この場合は自宅での酸素吸入が必要になるかも知れません。それについての詳しいことはまた別の機会にします。